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2023年4月26日発 南相馬・大悲山の石仏と仏都・会津の旅 3日間
東京駅から新幹線であっという間の1時間30分、福島県の旅に行ってきました。
新白河駅に降り立ち、バスで南会津へ。江戸時代の町並みそのままに茅葺屋根の家が建ち並ぶ大内宿を訪問。ゴールデンウィーク前の平日ということで人出も少なくゆっくり見学できました。昼食にいただいた蕎麦とご飯を軽くついて丸めて串に刺し、「じゅうねん(えごま)味噌」を塗って炭火で焼いた名物の「しんごろう」が美味でした。「じゅうねん味噌」は食べると十年長生きするそうですよ。
今回の旅の目玉の一つは平安時代より盛んになった会津仏教に焦点をあて、会津地方に点在する由緒あるお寺やそこに納められている国宝や重文指定の仏像の鑑賞です。どのお寺も参拝して終わりではなく事前にご案内の方をお願いしていましたので、仏像のことやお寺の歴史など大変興味深い解説を聞くことができました。
そしてもう一つの目玉の一つは南相馬市小高区にある「大悲山の石仏」です。大分の臼杵、栃木の大谷とともに日本三大磨崖仏の一つに数えられているそうです。詳しい資料が残っていないので色々と謎が多く、また仏像の顔が剥落しているなど保存状態は良いとは言えませんが、そこがまた見るものに長い歴史とロマンを掻き立てます。
大悲山の石仏の主な見所は「薬師堂石仏」、「観音堂石仏」、「阿弥陀堂石仏」の3カ所になりますが、その中でも比較的保存状態の良い「薬師堂石仏」と「観音堂石仏」の2カ所を見学しました。通常、薬師堂石仏の仏像は保存の関係でガラス扉の外からの見学になりますが、この旅では「南相馬市教育委員会様」のご協力により、ガラス扉を開けて内部に入って近くから鑑賞させていただきました。
砂岩を刳り抜いた間口15メートル、高さ5.5メートルの岩窟の壁面に、浮彫で4体の如来像と2体の菩薩像、線刻で2体の菩薩像と飛天が彫り出されています。首が太く、肩が張り、胸幅の広い、量感のあるどっしりした如来坐像のお姿は、平安時代前期の特徴を備えています。もう一つの「観音堂石仏」の観音像は、この仏像群のご本尊と考えられている十一面千手観音像です。厚肉に彫り出されたたくさんの手のうち2本を頭上に挙げて化仏をささげ持つ独特のポーズはが京都の清水寺の本尊である十一面観音像と共通することから、「清水型」と呼ばれているそうです。頭から下が剥落していますが、その高さは9メートルと日本最大級の石仏です。観音像の両翼には、薄肉彫で数多くの化仏も刻まれていて色も残っていることから、彫られた1200年前のお姿はさぞ素晴らしかっただろうなと想像できました。
南相馬を後にし、いわき市へ移動して福島県で唯一建物が国宝に指定されている「白水阿弥陀堂」を見学後、いわき駅から「特急ひたち」で東京駅へ戻りました。3日間というコンパクトな旅でしたが、とても内容の濃い旅になりました。今回もご参加のお客様、現地バートナーの皆様方のご協力で楽しい旅になりました。また季節をあらためてツアーを設定したいと思いますので、どうぞお楽しみに。